2013年11月7日木曜日

 着物はとても素晴らしい日本の文化を体現する衣装ですが、衣類としての弱点もあります。
いつか触れなければいけないこの問題に、初心者へのブログだからこそ、早めの覚悟が必要だと思い、お伝えします。

最初のお話は、まず着物は環境変化に弱いということです。

着物は洋服よりもはるかに長い時代を重ねた文化的衣類ですが、ある時期からほとんど形を変えていません。ここ数十年、最新の科学研究で進化を続けてきた洋服と比較すると、暖かいだの涼しいだのという機能性について残念ながら全然かなわないのです。

結論から言うと、洋服に比べて「着物は、夏は暑く、冬は寒い」ということです。




季節ごとに目的に応じた多様性豊かな洋服より、着物は素材・形状・種類・重ね着方法などが圧倒的に乏しく、極端な環境下では非常に不便となるでしょう。
これは着物に限ったことではなく、機能的な劣りは古式ゆかしい文化の宿命です。

よって、寒暖ほどほどの日和ならともかく、酷暑の夏の日、逆に凍えそうな冬の日については、無理に着物を来て歩くことは僕は勧めません。
健康に差し支えそうな環境下での衣類は、趣味以前に自分の生活を保安するものです。
そういう日は素直に強力な快適機能を持った化繊の服を着たほうがいいでしょう。
汗ハケのいい速乾素材のTシャツやあるいはダウンジャケットを着込んで快適に過ごしてください。

あるいは、暴風雨や豪雪、またはゲリラ豪雨の怖れのある日も着物は避けたいところです。
帰宅後の手入れや外出先での対応を覚悟の上で悪天候下を歩くことを否定はしませんが、周囲への影響が生じたとき「なんで洋服着ないんだろう」という相手の批難は、現代において正論です。
現代では、とある洋服を使用しない限り、その場所では適切に行動できないという機会や場所も多く、社会の設計・構造・環境の変化を実態的に見ると、基本的に着物で生活するのはハンデが多いと言わざるを得ません。

一方で、しっかりとそれをすべてクリアしながら毎日着物を着ている人々もたまに見かけますし、知っています。それはある意味達人の域です。
「おしゃれとは我慢することだ」とはとあるファッション芸能人のことばですが、温度や天候変化のもとでの忍耐と対処の知識はもちろん、周囲がそれを受け入れてくれる、言い換えれば周囲も我慢させられるだけの説得力をもった着物マスターでしょう。

現代では、マフラー・タートルネック・タイツなどを組み合わせた着こなしも認知されていて、ある程度の防寒も可能になってきましたが、素人のうちは、快適に着ることで楽しみ、不便はそのうえでたまに実感する程度でいいと思います。

着物は洋服と柔軟に使い分けたいものですね。

【関連】
着物の弱点[2] -時間編-
着物の弱点[3] -取り扱い編-


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