2014年5月12日月曜日

 ここのところ猛烈に忙しく、着物どころか洋服さえなかなか部屋着以外を取り出さない日が続いておりました。

季節は春から徐々に夏を感じさせる陽気となり、このままでは浴衣の季節に突入してしまいそうだったので、先日、本業のイラスト作品を発表するBehance Portfolio Review#5への参加に、思い切って着物で参加してみました。

選んだのは世田谷ボロ市で買った綿の格子柄(1800)を選択。
おそらく通常は部屋着や普段着として使われるものですが、手持ちの他の長着に比べて明るいので、ぜひ着て歩いてみたかったんです。

行きすがら、財布を忘れて走ったり、6時間に及ぶ長丁場で着崩れも激しく、移動と活動において着物の機動性の弱さは否めませんでしたが、それぞれに柔軟に対応できるようになりつつあるとも自負しています。

会場では、予想どおり和装は僕一人。
海外の方も多かったため、注目を浴びることができました。

手持ちのイラストで人気が集中したのも着物をテーマにした作品に極端に偏っており、日本に留学されているという若い人と話をしてみると、着物が海外で本当に人気があり、憧れの対象ですらあるという事実をヒシヒシ感じました。

その度合いは日本のそれよりもはるかに強く、欲しくても店などないので手に入らない、着たくても着方を習う教室すらない、そういう非常に高い壁に阻まれ、心から求めている人に手に渡らないという事実を生の声で聞き、大変もどかしく思いました。
もちろん日本でも同じように感じている潜在的な着物ファンは多いのでしょうが、日本人は「その気になればいつでも手に入る」距離にいるためか、その欲求の顕示が乏しく感じます。

「着物を海外に」
そんな誰でも思いつき、しばしば耳にする非常に効果の高そうな文化の伝搬がなぜさかんに為されていないのか。
そこには、このイベントで感じた、僕自身の作品が海外の人々から受けた評価が、まったく自分が想像していたよりも日本とは違う点に強く偏っていることと、それを肌で直接感じるまで実際に行動に移せない、この文化の持ち主たる日本人の消極的な気質があるようにも思えます。

海外旅行に行く際に、着物一式を持って現地で着付け、そこで歩いてみると、日本で受けるのとは全く違う反応があると思います。
ぜひとも着物を物理的に広げる力のある人々にはこれをやっていただきたいですね。
仕事を通して着物文化についても気づくことがある一日でした。

ちなみに、このイベントの詳細についてはブログの趣旨と外れるので割愛しますが、着物効果もあってかスポンサー賞をいただきました!嬉しいです!

(中央下、やや左に僕がいます)


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